タイル工場のラインの始まりは大きなプレス機です。
1平方㎝あたりに230㎏もの圧力が加わり、タイルの形が始まります。
タイルの成形は、顆粒状の原料を高圧でプレスする乾式成形です。 乾式の最大のメリットは、歪みを防ぐことでしょう。
水を含んだ柔らかい粘土で成形すると、外側と内側の乾燥具合の差でどちらかに引っ張られ、歪みが生じてしまいます。とくに真っ平らなタイルのような形状は、周りが切れたり反ったりしやすく、少しの歪みでも致命的です。
スペインなどヨーロッパでは、水を含んだ粘土で成形する手作りのタイルがあります。こちらはせっき質、いわゆる土物です。
湿気が多く、寒暖の四季のある日本では、カビや凍てて割れることを考慮すると、硬質な磁器質がやはりメインになります。
手作りのやきものはゆっくり乾燥する必要があります。時間がかかる上、乾燥具合によって形にバラつきが出る割合も高くなります。味わいがありますが、量産体制には向きません。 日本のJIS規格は吸水率を3%以下としています。乾式成形は、サイズや形の精度が均一なものです。
石の面状にプレスされたタイルには、まだ四方にバリがあります。それがラインを通っていくとキレイにはぎ取られるさまは、見ていて気持ちが良いほどです。粉状でありながら、機械に吸い上げられて移動するようすは不思議です。
ラインでは何カ所で検品があります。
「青だけ」もそのひとつです。青色の溶液に成形したものを付けることで、ヒビ切れの有無を検品しています。
その後釉掛けへとラインは進んでいきます。いくつかの検品を経て、窯入れの前に乾燥庫でしっかり乾燥をさせ、いよいよ窯入れになるのです。 (Muto)