窯の話 その1
やきものは、1に焼き、2に土、3に装飾といわれます。
1に焼き・・・・ですから、焼成はすべてを決めてしまうような重要な部分を占めます。
最後は炎に委ね、手にとって見ながらなんて調整は不可能です。
耐火プラスチックかガラスの窯ができたらと常々思っているほどですが、1250度の高温では、結局赤白い炎が見えるだけでしょうね。
さて、トンネル窯の話です。
加納では、全長約60㍍のトンネル窯が毎日稼働しています。
先が見えないくらい長いです。まるで倉庫か部屋
60㍍のトンネル窯でどれくらいのタイルが焼成できるのか?
ちょっと想像がつかないかもしれません。
1台の台車が出ると、1台が入るという具合で、順に流れていきます。
窯の3分の1あたりまで台車が行くと、焼成が始まり、丸1日かけます。
やきものの窯といえば、穴窯、登り窯、ガスキルンなどがありますが、もとの仕組みは同じです。
焚き口のバーナーの炎、温められた空気が下から上へ回りながら、煙突へ抜けていく。
ただ、トンネル窯を見るたびに、効率の良い近代的な姿に感心します。
こちらは一般的な陶芸用のガス窯の後ろのダンパーとドラフト。
これを抜いたり、引いたりの操作で窯の中の雰囲気を変えます。
窯の中は場所によって焼きの雰囲気が微妙に異なります。
トンネル窯のダンパーとドラフトはデカイ上に横並びでいくつもある。
一般的なやきものは、炎に委ねる窯変や釉薬の変化が味ですが、
タイルの場合少し事情が違います。
広い壁面に部分的な差が生じるのは、好まれません。
窯はコンピューターによって制御しているとはいえ、微妙な感所は、やはり人の力、職人さんの経験とそのデータです。
上の写真のダンパーやドラフトに限らず、所々にある個別バーナーやら空気やらを駆使して、色、調子、雰囲気を変えています。
加納はリフォーム用に、
タイル破片から新しくタイルを再現する仕事をしていますが( 補修タイル研究所 詳しくはこちら)、
これも今までの経験とデータあってのことです。
つづく (Muto)